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90年代末漫画の風景

朝刊
07 /30 2012
信子「結局求めるものが雨宮一彦になのよね、これ」
益利「あまみやかずひこ…?誰だっけそれ?聞いたことのある名前だな」
信子「ヒント猟奇殺人事件」
益利「猟奇殺人…?」
信子「ヒント90年代末のオウム事件の残り香が漂ってた時代」
益利「ああ、あの頃か。あの頃の灰色な空気感は好きだな」
信子「ヒント多重人格」
益利「多重人格…?ああ、ああ。アレか。多重人格探偵サイコの主人公だ。雨宮一彦か、懐かしいな」
信子「久しぶりにブックオフで読み直したら懐かしくってねぇ。買って来ちゃった」
益利「ああ、懐かしい。途中まで読んでたなぁ。というか始まった頃が一番面白かったイメージ」
信子「始まった頃の空気とこの漫画のテーマはあってたんだけどねぇ。なんかエログロアート感じで。でもだんだんこういった猟奇的なものも飽きられるというか、サイコの場合風呂敷の閉じ方が難しくなったというか」
益利「結局雨宮一彦の人格の奪い合いになって、なんだかなぁって感じだったな。そこまで雨宮の人格が神格化されるほどでも無いというか。しまいにはスペアだのなんだのだったな」
信子「猟奇事件、ルーズソックス、ブルセラエンコー、Jホン。あの時代を映してたアイテムと空気を結構序盤は描けてる分、90年代後半の空気を真空パックしたものとしては優れてるんだけど、問題はこの漫画がまだ続いてる事よね。はっきり言って00年代にはデイトレだの投資バブルやIT起業家ブームがあったりと空気は一変してる。もうサイコの作品の空気じゃないのよねぇ。しかも今じゃなんか猟奇さや儀式的な殺人よりも小銭欲しさに通りすがりの殺人みたいな実用的な事件化してるし、一番最近の流行りはエスカレートしたイジメという名の窃盗傷害。こんなこと言ってはあれだけど、サイコってものが流行遅れなのよね」
益利「久しぶりに一巻とかめくると確かにいい感じだけどな。サブカル系の連中がカニバリズムの単語憶えたのはサイコからだったしな。しかし、結局この漫画はどうなってんだ?」
信子「さあ、最近は知らないけど、とりあえずブックオフで100円で買えたところまでしか買ってないし。まあ、ルーシーモノストーンの補完と雨宮一彦の人格の奪い合い的な?」
益利「ルーシーモノストーン!懐かしいな。この作品の中で重要な過去のカリスマでキーパーソンだったな。でも序盤には普通にいた雨宮一彦の人格の奪い合いとはねぇ」
信子「まあ、雨宮一彦の真のオリジナル人格はわかってるけどね」
益利「雨宮一彦のオリジナル?なんかそんなのも登場してなかったっけ?」
信子「ああ、違う違う。もっとメタ的な感じでのオリジナル人格」
益利「誰よ、それ」
信子「江戸川コナ……」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
ええ、フィクションです。
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福澤桃介と金子直吉の評価の低さを憂う。
2007年8月31日開設
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