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パイレーツロックの風景

朝刊
08 /01 2011
信子「パイレーツ・ロック面白ーい!このセンスよ。これこそあたしが求めてたイギリスコメディのノリよ!しかも60年代後半のイギリスって言ったら、あたしのThe WHOがとんがってた時代じゃない!モッズ対ロッカーズじゃない!さらば青春の光じゃない!」
益利「ザフーにハマって結構注目してた年代のイギリスが舞台だったとは驚きだったな。あの時代に本当に海賊まがいに海からラジオ放送してた連中がいたとは。しかも若者はみんなそれを聴いていて、人気DJが活躍してたりとか。今で言うと人気ブログや投稿動画サイトみたいな感じだな」
信子「まさか海から放送してたとはね。しかもずっと海で生活してたりとか。しかもセックスにやたら寛容というかオープンというか男女がいたらしない方がおかしいみたいな空気の中に童貞の子が新しい仲間としてやってきてカルチャーショックを受けまくる。なんつーかナイスなコメディよ。しかも人気DJ連中がみんなカッコいいのよね。人としてDJとしても。あと、時代が60年代後半のイギリスだからビートルズが熱を持って活動してた時期だし、その熱が他のバンドにも火をつけたり、ザフーも生まれたりと、ロックンロールが胎動始めて明日にはもっとすごい曲が生まれて当たり前的な空気のある時代。DJ達もそんなワクワク感の中で新曲をかけまくる。あーなんつーか、あたしもその時代なら海賊ラジオ局に関わりたいわー」
益利「しかもちゃんと広告収入で成り立ってたり、違法じゃなかったりとか本当にスゴいよな。不良の集まりだけど、お金はしっかりと回って存在してる。政治家は取り締まりたいんだけど、取り締まれない。いつの時代も政治家って気分的に気に入らないから違法にしたいってのは変わらないんだな」
信子「ホントよね。これを無理矢理違法にする理由を政治家が必死に探してるんだもん。日本だったら、探さなくてもきっと違法にしちゃうんだろうけど。それにしてもこの監督ラブ・アクチュアリーの監督でしょ?本当にセンスがいいわ。ラブアクチュアリーもやられたー!って思ったけど、こっちもやられたー!って思っちゃったわ。この人スゴいわ。しかもこの作品の空気感がアメリカ映画のそれとは違うのよね。この空気感。英語だったりアメリカとイギリスって日本からだと何が違うのかって思うけど、こういう映画観るとやっぱり違うなぁって思うし、特にこの60年代後半のイギリスの音楽業界は一つの黄金期だしね。ああ、あたしもスリムスーツ着て、ベスパに乗ってモッズファッションに決めたいわー」
益利「女があの格好するのか?」
信子「逆に新しくない?普通にスーツだと男装っぽいけど、モッズのスリムスーツを女が決めたら新しいじゃない。今までそんなブームも無かったしね」
益利「たしかになぁ」
信子「それにしてもこの映画の未公開シーンの出来がスゴすぎるわね。しかもこのシーンだけで良く出来てるけど、本筋とはまるで関係無いから未公開シーンと言うよりも特典のために特別に作ったんじゃないかと思えるようなシーンよね。人気DJが自分を見失って旅してたけどロックを聴いて目を覚ましたシーンとか他の海賊ラジオ船に乗り込むシーンとか完全に本筋とは関係無いけど、良く出来てるし。これこそ未公開シーンよ。ラブアクチュアリーのマネしたバレンタインみたいに必要なシーンを未公開にしちゃうのとはまるっきり違うわ」
益利「未公開シーン面白かったなぁ。だけど、これを本筋に入れたら話長くなっちゃうしな。入れなかった理由もわかるけど、良く出来てるというか。それにしても最後はまさに衝撃のラストだったな」
信子「あー、あれは驚いた。ああいくのかと。しかもコメディで。でもあの絶体絶命の瞬間でもみんなロックでロックな会話のやりとりにビンビンに来たわ。あたしも絶体絶命になったらあれくらいカブキたいものだわ」
益利「本当に最初から最後まで良かったし、何よりも音楽が最高だったな」
信子「本当よ。ザフーも当然かかってたしね!もうこれ60年代イギリスロック好きにはたまらない映画だわ」
益利「こういうノリで日本も映画作れないもんかなぁ」
信子「日本もグループサンズやフォークソングブームがあったから、こういうコメディノリで作ればつくれそうだけどねぇ。でも日本が作ると辛気くさい映画になっちゃうのよねぇ。懐古主義コメディ映画って新しい視点で作ればいいのに」
益利「フォークソング歌手とか曲は暗くても結構みんな話とか面白くてウマいんだけどな」
信子「さだまさしさんとかねぇ。そういや日本とイギリスって結構立地条件って島国と言う事で似てるじゃない?日本じゃ海賊ラジオ局とか無理だったのかな」
益利「日本じゃ、広告出さなかったり、無駄に多い規制で捕まりそうだし、まあ法的にも経済的にも無理だろうな」
信子「相も変わらずつまらない国ね、日本って」
益利「それを美徳と思ってるんだろうな」
信子「イギリスじゃライブでザフーが楽器を壊したり、海賊ラジオ局があったり、盛り上がる環境が自然と出来てるんだもんね。そりゃビートルズやらザフーが出てくるわけよ。日本はもう少しこの窮屈さに一人一人が気付くべきよ。海賊ラジオ局とかあったら楽しそうよねぇ。世界的に評価されるバンドが生まれるにはそれなりの環境が必要なのよね」
益利「日本では唯一法律が緩くて世界的に評価される文化になったのは漫画くらいだな」
信子「あー漫画とアニメは法律の緩さが育てた文化よね。そうよ!漫画かアニメの創世記でコメディ撮ればいいんじゃない?」
益利「トキワ荘だな…」
信子「…トキワ荘ね」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
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2007年8月31日開設
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