2ntブログ

寄付はいいのだろうか。

朝刊
08 /08 2010
 アメリカの大資産家は何かと稼ぎまくったあと、死後寄付をすると発言をする。脊髄反射的に寄付と聞くと素晴らしいことのように聞こえる。確かに資産を無償で貧しい人に与える行為は素晴らしい。しかし、寄付という行為には不純物が交じることがある。寄付が貧しい人に直接届けられるのかという確証がまるでない点だ。先進国からはしっかり全額その国に届けられたとしてもその国で分配されるかどうかも怪しいものだ。しっかり自分で物資を買い、直接配るなら寄付はしっかりと寄付として機能してる。それこそサンタクロースなわけだ。しかし、資産家の死後であったり、莫大な資産を動かそうとすればかなりの額がこぼれ落ちる事だろう。あと投資した会社なら、決算書という事で数字がくっきり出てくるが、寄付になると無くなればいいわけだから、使い道が記載されてても確証がない。寄付を運用する相手が信用できる相手であったり組織であるならいいだろうが、梨のつぶてのようシステムである寄付に諸手を挙げて素晴らしいとは僕は言いづらい。いや思想や行為自体は間違いなく素晴らしいが。
 寄付に関しては福澤桃介先生も否定的な意見を言ってるわけだ。特に労働者の寄付というものを否定している。なぜ労働者の寄付はいけないか。それは労働者自身の雇用そのものが不安定であるからだ。今失業していなくて、高給取りであっても労働者は企業というスポンサーに養ってもらっている事には違いない。だから、自分が安定している立場にいるというのは幻想であり、そんな不安定な立場である労働者が人に寄付をしようというのは実は奢りでしかない。このことは突然リストラや会社が無くなった人なら痛いほどわかるだろう。昨日まで仕事してたのに一夜にして、寄付を与える立場から貰いたい立場になるのだから。
 というわけで福澤桃介先生は労働者の寄付はよくないと言ってたわけだ。それよりも貯蓄をして一日でも早く不安定な労働者の立場から経営者になって、そこで安定的に儲けられるようになってから好きなだけ寄付でもボランティアでもしたらいいと言うわけだ。労働者が後進国に寄付をして後進国がそれを元手に成長することによって、工場が出来て雇用が増えた代わりに寄付をした労働者がリストラにあってしまうのでは虚しいだけだろうし、それが経済の残酷さなわけだ。
 僕は今のアメリカの資産家がこぞって寄付をしようというのは思考停止的な感じを受ける。建設的に資産を築き上げた結果、それを意味も無く崩してしまう。まるで子供の積み木のお城ではないか。しかも、その資産の額が国家の1年分の予算に匹敵したら、寄付という慈善事業でありながら経済にどれだけの影響を与えるかわかったものではない。死んだ後のことは知らないというのだろうが、あまりにも無頓着すぎる。だったら、生きてる間に世界中を回って直接寄付でもプレゼントでもすればいいのに。
 あと寄付という行為も建設的ではないと僕は思う。だから、寄付するという事は見返りを求めないと言うことなんだから、その寄付の額だけ後進国で起業する方がよっぽどその国の為にだと思う。例えば一億円もあったら、後進国では数え切れないほどの企業が生まれることだろう。そして、企業が生まれることで後進国の人達は働く意味を知るし、雇用を通じて技術と知識を得ることになる。もともと寄付のつもりのお金での企業なのだから、万年赤字でもいい。倒産して当たり前でも経営をすることによって、後進国の雇用された人を教育だけに時間を使っても良いし、もしもその数え切れない起業のうち、一社でも成長する企業が出てくれば儲けものだ。その企業で儲けた金をまた後進国での起業に使っても良いわけだ。要するに倒産ありきの投資という寄付行為こそが、後進国のためになるのではないかと思う。もしくは先進国であっても障害者雇用に特化した企業や刑務所をまじめに務めて出所した人を雇用する企業などの起業や運転資金に寄付と使ってみるのも良いのではないかと思う。これで自分でお金が回っていけばしめたものだし、回らなくてももともと寄付なのだから赤字でも寄付の額でやっていけば良いわけだ。
 寄付と投資とは相反するようであっても、寄付というものも実は投資ではある。見返りを求めるか求めないかなわけで、いっそ後進国での起業という形での損失覚悟の投資を寄付でやってみたらいいのではないかと思う。特に大資産家は生きてる間にその知識を活かしてやって欲しいものだ。死んだ後は適当に寄付しておいてというのは適当だし、実際に遺族はそうするかどうかはわからないのだから。後進国で大資産家が赤字覚悟の起業連チャンしたのを見てみたいんだけどねぇ。

気になる株価材料
<ホンダ>10月発売のフィットHV、価格160万円前後に
米ヒューレット・パッカードのマーク・ハードCEO、セクハラ疑惑で辞任
本体を動かしてマウスを操作、ユニークな両手持ちキーボードが発売に
電通、キーワード入力不要、ザッピング感覚でウェブ閲覧できる「Xappy」
東芝、2画面ミニノートPC「libretto W100/11M」を8月11日に発売
メキシコ湾油田、BP早くも再生産の可能性
ハローワーク利用者の8割は満足 初の出口調査
COP10に向け住宅各社が木材調達の取り組みを本格化
「格安」誘致に照準=低コスト売りに新路線開拓―茨城空港
静かな人気の「地サイダー」と「地ラムネ」 今年の新作は「ラー油風ラムネ」
液晶価格カルテル、NY州がシャープなど提訴
米AIG第2四半期は予想上回る、純ベースでは赤字転落
双日、カナダでレアメタルの生産能力を増強
ゲームソフト大手6社4~6月期 セガサミーなどヒット作で増収

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
ええ、フィクションです。
投資法は現物買い推奨
投資による損失は自己責任でお願いします。
福澤桃介と金子直吉の評価の低さを憂う。
2007年8月31日開設
紹介・リンクフリー
kurokei-bana-