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2013年始まってみての風景

朝刊
01 /07 2013
信子「気が付けばもう2013年が始まってるわけよ。色々思うようで、そうでも無いというか…」
益利「正月感が薄れてるというか、昔はもっと新年ってわくわく感があったような気もするけどな」
信子「そこなのよ。確かに若い頃はもっと新年にわくわく感があったような気がする。けど、今年はそれが薄いわぁ」
益利「リーマンショックの時も年越えた事も気付かなかったけど、あれは緊張感というか非常事態って感じだったからな」
信子「リーマンショックの時はクリスマスも気付かなかったしね。まあ、今年はむしろ年末は相場も明るかったし、楽しめてもよさげなものだけど、なんか正月感が無いのよねぇ。なんなの?」
益利「テレビ番組もおざなりな新年あけましておめでとう感というか。あまりお正月感が出て無かった気がする。いつも通りの番組だったと思うけど、なんかマンネリなのかな」
信子「うーん。深夜にたけし軍団のふざけたのやら、麻雀番組もなかったような気がするし。あたしはそういうのが観たかったんだけど-。唯一正月感を感じたのはTBSラジオの永六輔の土曜ワイドかなぁ。なんか芸人達の長老へのお年賀参り感がよかった」
益利「結局、正月感はテレビとかに与えられるものじゃないって事だな」
信子「どういうこと?」
益利「やっぱり正月ってのは親戚が顔を見せに来たり、見に行ったり、初詣に行ったり、そういう事をしないと正月感が味わえないんじゃないかな。普段では会えない人と会えるというか。年賀状も会ってない人から届いたりすると嬉しいけど、最近年賀状も送らなければ、送られなくなってる。まあ、ケータイのメールで年賀状メールみたいな事をしてるけど、いまいち正月感は年賀状ほどのものはないしなぁ」
信子「そういえば-、年賀状来ないねぇ。送ってないし。しかもそれを普通に感じるというか、三十も過ぎれば疎遠な人間は本当に疎遠だし、近くにいる人もそれほど多いわけでもないし。親戚も昔は遠縁の人も来たもんだけど、もうみんな年で動かないし、あたし達の世代は親戚付き合い下手だしねぇ」
益利「案外親戚付き合い下手ってのが結構これからの課題になるかもなぁ。親の世代より上の鬱陶しいくらいの親戚付き合いこそが正月感だったんじゃないかと思う。それが三十、いや四十代より下はもしかするとみんな親戚付き合いが上の世代よりも下手だったり、苦手なのかもな。結構これからの問題になりそうだけどどうだろ」
信子「爺さん婆さんの世代は堂々と親戚の家なら入っていったもんねぇ。あれをあたしにやれと言われても相手に気を使ってしまいそうだわ」
益利「兄弟ならまだしも従兄弟くらいの血縁の家に行くってのはちょっと勇気いるかもな。当然歓迎されるとわかっていてもな。でもそうやって遠慮してるとどんどんそれこそ疎遠になっていくんだろうな」
信子「そういや親戚にも当分会ってない人も多くなったわ。気が付くと。時の流れは残酷だけど、残酷さを増してるのはあたし自身の怠惰ね。こまめに顔出してればそんな事無いんだろうけど」
益利「かといって今から親戚の家に『お久しぶりです』と言って訪問する勇気もいるよなぁ」
信子「若い頃ならそれも出来たけど、三十も過ぎるとなんか遠慮というか気を使うというか、あたしも変に大人になったものねぇ」
益利「もうおばさんと言われる世代だからなぁ」
信子「カッチーン。むかつくけど、それもリアルな現実ねぇ。ああ、もしも親戚の家に行ったら、子どもがいると完全に親戚のおばちゃんなのね…。ああ、きっとあたし達の世代はその現実が怖いのよ。だから、動けないのよ。行けないのよ」
益利「そうだよなぁ。正月というか親戚と会うのに独身という体の決まりの悪さったら無いよな」
信子「三十過ぎるとなおさらねぇ。ああ、正月ってイベントは結構重たいイベントだったのね。実は」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
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2007年8月31日開設
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