2ntブログ

嵐の前の静けさなのかの風景

朝刊
04 /04 2011
信子「とりあえずガソリンも買えるようになったし、計画停電もなぜか起きなくなったし、平穏な感じになったね」
益利「まあ、とりあえずってところわな。ただまだまだ被災地は大変だし、原発も前進どころか作業が原子炉から離れてるし、東電は国内外で叩かれ始めてるし、問題の再燃がいつ起きてもおかしくない状態でくすぶっている感じだな」
信子「そうよねぇ。まだまだ問題は山積してるわね。テレビで小学生の姉妹が籠を背負って支援物資を近所の家に配ってる姿とか見たら、なんか懐かしくなってきた。昔は農家でも籠とかあったよね」
益利「あーうちも桑の木とかあんな籠で集めてたっけ。懐かしいけど、最近の子供がアレを背負ってると妙な感覚だな」
信子「ふと思ったんだけど、これからの子供ってバブル世代や氷河期世代、ゆとり世代に続く新しい世代何じゃないかと思ったの。なんというか大津波世代とでも言うか。きっと今の子供達って完全に価値観が大きく変わってるはずだし」
益利「そうだなぁ。きっと今の子供達の価値観はゆとり世代とはまた違うものだろうなぁ。この大津波世代からすれば俺達氷河期世代も甘い世代なのかもしれないな」
信子「そうね。特に被災地で頑張ってる子供達には負けるわ。でもその今頑張ってる気持ちの方が受験勉強なんかよりも大切なものだって思いたいよね。しかもバブル以降の世代は物の無い状態なんて知らないわけだし、それを一気に体験しちゃったんだから、精神的には戦後世代並に価値観が変わってるはず。きっとそんな今の子達が新しい日本を構築していくはずよ」
益利「全てを失ってからやり直すか。俺なら耐えられるかな、いや無理だろうな。しかし、技術の日本だとか言ってる技術はそんな焼け野原から起業した人達が積み上げてきたものだからな。今の新世代はバブル世代からゆとり世代までの世代とはまるで違う世代だろうな。もしかしたらこの世代から日本は転換するのかも」
信子「あと原発問題からの東電の凋落はすごいものがあるね。阪神淡路大震災の95年は当時カルト教団としてオウムが出てきたけど、今回の震災ではそのオウムのポジションのように東電がなり始めてる。まさか日本企業でも中心の企業だった東京電力がテロリストのように言われるなんて誰が予想した?」
益利「テロって動機なんて他人から見たらどうでもいいんだよな。テロの怖さは動機よりもその結果。起きてしまう結果が怖いからテロって厳しく取り締まっているわけだろ。だから、テロを恐れて原発の情報は極秘だったり、警備は重要だったりするわけだし、大量虐殺になる飛行機も搭乗に厳しくなってるわけだ。はっきり言って原発が制御不能になったり放射能を撒き散らして欲しくないからテロを警戒してるのに、四機も原発が制御出来なくなって放射能を垂れ流していて、しかも一ヶ月で封印できないとなると、動機は無くとも結果としてはテロのようなもんだしな。事故が起きても対策を用意してないとか、安全だから用意する必要がないとか、不作為によるテロとでも言えるんじゃないだろうか」
信子「ましてや東電の社長なんて一度顔を出したけど、それ以降顔を出さないまま雲隠れして、いつの間にか辞任してるとかなんてことになったら、東電社長は実はスパイのテロリストでテロを実行してもう国外に逃げてしまったように受け止められても仕方ないわね。責任者でありながら表に全く出ない人間をテロリストやスパイと疑わない方がむしろ不自然よね」
益利「アメリカで原発事故が起きて社長が表に出てこないまま、雲隠れしたら真っ先にテロリスト容疑だろうな。普通の責任者ならそう思われないように表に出てくるもんだろうけど」
信子「それにさ、そもそも放射能なんて目に見えない物なんだから、異常があった時点で付近の住民は安全の可能性が高い30キロまで強制退去させるのが妥当だと思うんだけど、1キロ、3キロ、10キロって順番に状況が悪くなるにつれて離れていくとか、放射能は政府の発表を待って広がっていくわけじゃないんだから遅すぎるよね。始めから安全な地帯である30キロに避難させておいて、状況に応じて避難地域を狭めるなり広げるなりの戦略の方が当然じゃない?放射能汚染されて始めて退避してくださいっておかしいでしょ」
益利「不発弾の時はきっちり安全な距離まで退避させるのにな。不発弾よりも放射能の方が安全らしいな」
信子「こう言う時は被曝しない確立を考えるもんだろうに。まあ状況が悪くならないと楽観してたんだろうけど、原発なんて危険だと誰もが知ってるものに楽観した退避命令はおかしいわね。結局30キロまで離れる事になるんだったら、始めから30キロまで退避させるべきだったろうに。火力発電所とかならまだ今回の原発の避難でもいいとは思うけどね」
益利「しかも自主避難とか意味がわからないし。避難させるなら国が責任持って命令出さないと。今回の事で何が起きてもこの国の政府はろくに決める事が出来ないんだなって実感したよ」
信子「あと、こんな状態になってもなんで日本企業が内部留保が多いのか気付かない人が多いのもびっくり。今も企業は内部留保があるんだからそれを復興に使うべきとか言ってるのがいるのが驚きだわ。そもそも内部留保は株主の物だし、それを株主に配らずに株主に反抗して企業が一大事に備えてるのが内部留保なわけだけど、その株主の物を取り上げるとか発想が凄い。まるで強盗だわ。さらにこの千年の津波や原発事故などがまさに企業が株主に反抗して蓄えた内部留保が必要な時じゃないの。例えば計画停電という日本経済を叩きつぶすような事を東電が始めたわけだけど、こういう普通の国なら絶対に考えつかないような事が起きるのが日本なわけよ。特に天下りの影響が大きい企業などが問題を常に起こしてきたわけ。トヨタがバカみたいに内部留保を蓄えたのもそもそも銀行に裏切られて一度つぶれかけた事があるから、まさに銀行トラウマから起きたことなわけで、今回は東電による経営難になってるわけよ。だからこそ内部留保で企業によっては関西に移ったり東電の停電中も工場動かせるように自家発電設備を導入したりするために使うのが株主に配らずに貯めてあった内部留保なわけよ。まさにこんな事態の為に企業は蓄えていたのに、今内部留保を企業から取り上げろとか何言ってんだか。ましてやこれからどれだけ赤字になるかも予想がつかないわけだからこそ内部留保も必要だし、さらに今回はみずほ銀行もシステムトラブルを起こしたりしたわけだ。トヨタのトラウマの元の銀行はやっぱり肝心の時にしくじるわけだ。だからこそ内部留保は必要だし銀行も分散させておいておくことも必要。まさに今こそ日本企業の内部留保が活躍するじきなわけで、企業に内部留保があって良かったという論調じゃないとおかしいでしょ?それが内部留保を取り上げて復興にあてた税金を埋めろとか。どんだけ政府の犬なのよ」
益利「文科省の社会主義教育の賜物だな」
信子「あと復興のお金をすぐに税金という話になるけど、まず復興個人向け国債などで集めることをするべきじゃないの?当然この復興個人向け国債は無金利で集める必要があるけど、この国債は相続税が免除されるとか特典を付ければ充分売れるでしょ。てか生前贈与とかやろうとしてたんだったら、まず相続税免除の無利子復興国債を個人に向けて販売するべきでしょ。そうすればかなりの枚数売れるわよ。年寄りが金融資産のほとんどを持ってる国なんだから。まずそうやって単純に税金で集めようとしないのが賢い政治家でしょ?お金が足りなければ増税だ、なんて額のないバカ王様でも思いつくわよ。というかバカこそまっさきにやる政策だわ」
益利「一応日本には1500兆円の金融資産があるんだからな。この金融資産の1%出させるだけで15兆円出るわけだ。増税しないで15兆円を国民に出させるのが政治だよな」
信子「そうそう金融資産が1500兆円ある。しかもみんな預金とかね。大体個人が預金ばっかりするんだから、企業が内部留保が多いのも同じ理由じゃないの。要するに政府や天下り企業が信用できないからでしょ。内部留保が叩くんだったら個人の預金やタンス貯金も叩くべきよ。企業だって法人なんだから、人として考えた時にこの国での企業活動には現金が必要だって考えるじゃない。それについては企業も個人も変わらないわ。ましてやこんな大きな事態が突然起きてもおかしくない国だし。そうよ!よくよく考えれば震災がいつ起きるかわからないこの国にとって内部留保や預金は当然の行動よ。むしろ内部留保のない企業の方が頭がおかしいわ」
益利「資金繰りに困った途端お金を貸さないのが日本の銀行だしな。内部留保叩く奴は今すぐ銀行行って金借りてくればわかるだろうに」
信子「でもこれから先の事態に今の企業の内部留保でも足りるのかどうなのか」
益利「経済的には何にしても原発片付けてもらわないとな-」
信子「社長のいない企業がねぇ」
益利「海外頼みになるかな」
信子「技術の日本の信頼は脆くも崩れるわね」
益利「あの技術の日本ってのも消去法的に消していって残ったのが技術だけだったって感じだけどな」
信子「日本って技術ってよりも精密部品の日本よね。お陰で世界中の工場が止まってる」
益利「これをきっかけに他の国で部品作られたら、もう踏んだり蹴ったりだな」
信子「売る物が無くなった途端に円安が襲ってくるのが経済よね」
益利「ははは、良く出来てるよなぁ」
信子「笑えないって」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
ええ、フィクションです。
投資法は現物買い推奨
投資による損失は自己責任でお願いします。
福澤桃介と金子直吉の評価の低さを憂う。
2007年8月31日開設
紹介・リンクフリー
kurokei-bana-