2ntブログ

出会いってないねの風景

朝刊
10 /24 2011
信子「うーん。出会いというか友達を増やしたいなぁと思ってもなかなかそういった機会って無いものね」
歩「そうですね。昔の友人と連絡してまた仲良くなったりとかはありますけど、新しい友達って増えないですね」
信子「あーあ、店員って女の子が多いから、男だったら片っ端からナンパしてやるのに。女が男の店員に声かけたくてもなかなかいないしねぇ、いい男の店員とか」
歩「でも男だったら声かけづらいもんじゃないですか?あまりそういうのって見たこと無いですよ」
信子「そう?なんか女の子店員に気がありそうな客なら結構見たことあるけど。確かに一線を越えようとするのは見たこと無いなぁ」
歩「働いてる時に告白されても困りますしね。それにレジ打ってる時にお客の顔なんてそんなに意識してないし。でもたまーにはいますかね。気になるような人は」
信子「もしもそういう悪くないと思う男から声かけられたら、どう対応するんだろ。あーあたしが男だったら実際にやってみるのに!」
歩「どうするんでしょうね。ケータイの番号受け取っちゃったりするかも」
信子「まあ、男なら店員は女性が多いからそういうチャンスもアリだよね。あたしが女性店員に遊び相手がいないので友達になってくださいって言うよりはまだ脈がありそうだし」
歩「うー、確かに男性からの誘いならまだわかりますけど、女性から友達になりたいっていう方が困りますね。どうしたものかと。何かの勧誘かと思っちゃうかも」
信子「そうよねー。なかなか友達作るのって学校離れると難しいよね。でもみんな内心友達が欲しかったりするんでしょ?周りが結婚してヒマなアラサーなんて山ほどいそうなのに、孤独を抱えて一人上手になってる。だったらあたしと友達になって遊んで欲しいわ」
歩「休みの日とか何だかんだで何もしてない事が多いですしね。予定を作るのが億劫だったりするけど、日曜日が終わりかけると妙に寂しさが募ったり」
信子「友達作る機会ってのが無いのよね。でも人って何人も集めておけば自然と友達になったりする。学校とか習い事教室がそんな感じよね。だから人が意味もなく集まる場所が必要なのかも。でも、下手な鉄砲も数打ちゃ当たるって事で片っ端から声かけていけば誰かが友達になってくれるかもねぇ」
歩「でも声かけるのって勇気が要りますよね」
信子「うん。とりあえずレジ打ってる人に一言二言でも会話するように努めてみるのがいいかも。そうやってコミュニケーションの練習していけば次第に人と会話するのもウマくなっていくかもね」
歩「お金の授受しかしてない人は印象に残らないですからね。何か一言二言交わしていれば確かに印象に残るかも」
信子「そうやって記憶に残していくようにしてみるかな。30過ぎてから誰にも気付かれないことにちょっと怖さを感じるようになってきたし。あーおばちゃんが人懐こいのはこういう心情からなのかな。あたしもおばちゃんだねぇ」
歩「いいんじゃないですか。そういう生き方の方がいいと思いますよ」
信子「あたしが男だったら友達以上まで頑張るけどねぇ。世間の男は何してるんだか。あのレジの子なんか可愛いのに」
歩「信子さんが男だったら口説かれそう」
信子「あら、君カワイイね。これからどう?面白そうな映画があるんだけど」
歩「え、どうしようかしらぁ~?」
信子「今日は偶然にもカップルデーなんだ。一緒に映画見たら安くなるんだよ。オレを助けると思って一緒に見ようよ」
歩「そうなんですか。安くなるならいいですね」
信子「じゃあ観に行こうか」
歩「はい」
信子「で、君の名前は?あとケータイの番号も教えてよ」
歩「名前は歩って言います。ケータイの番号は…って口説かれちゃいましたね」
信子「あたしもなかなかやるじゃん」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
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2007年8月31日開設
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