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価値を作るという政策の風景

朝刊
07 /05 2010
益利「茶器ってスゴいよなぁ」
信子「茶器?あのお茶飲む奴?興味ねぇ」
益利「いやいや、リアルに欲しいってんじゃなくて、戦国時代に茶器という価値を産み出したって事がさ」
信子「え?別にどうってことないんじゃないの?信長辺りが酔狂で始めたんじゃないの?」
益利「まあ、俺も歴史とか詳しいわけじゃないけど、経済的にあの茶器は信長にとって重要な一手だったんじゃないかと思ってる」
信子「興味無いけど、どうしてよ」
益利「いいか。日本統一したらどうなる?」
信子「日本統一したら日本の土地は全部自分の物になってメデタシメデタシじゃないの?」
益利「実際日本を統一した秀吉はどうなったか」
信子「あ、褒美に与える土地が無くなったので朝鮮出兵だっけ」
益利「そう。土地は限りがある。さらに黄金も限りがある」
信子「なるほど、限りのある価値のある物は限界があるから、足りなければ奪い続けなければならないのか」
益利「そこで茶器よ」
信子「はっ!そうか。茶器は土をこねくり回して人が作った物で、土地や黄金のように限りがある物ではなく、いくらでも生産可能な価値のある物と言うことか」
益利「ということは、土地や黄金が無くならずに価値のある物として褒美に使えるわけだ」
信子「ああ、なるほど。…なんか株券刷りまくってる会社みたいな資産膨らませ方ね」
益利「さらに茶器も大殿様からもらった物は価値があるわけだ。ウマい具合に価値を上げ続ければ茶器一つが国一個分の価値になったりすることも可能なわけだ」
信子「はっはーん。信長はそこまで考えて茶器に価値を見いだしたわけか」
益利「茶器の利点は、人為的に綺麗に焼くことが難しいって事だ。ということは人為的に価値のある茶器を複数生産するのが難しい点にある」
信子「確かに職人になれば誰でも作れるようなものでは一気に物が溢れ価値は暴落する。要するに現代で言えば紙幣偽造的な事が出来ない商品でなければならないわけか」
益利「それが茶器だったと言うことだ。そしてその茶器の価値を高める為に茶道を持ち上げたわけだ」
信子「そっか、茶器が偽造の難しい物だったから、それを利用するための茶道か。茶道が広まったから茶器に価値が産まれたんじゃなくて、茶器に価値を持たせるために全国の大名に茶道を注目させたわけか」
益利「この下地によって為政者は人為的に価値のある物を生産出来て、褒美として与えることが出来る。窯元はすべて為政者が支配すれば、元は土くれから大名がありがたがる褒美をいくらでも生産出来るわけだ。日本統一後は茶器によって大名を支配できるわけだ。茶器が飽きたら、他に何か違う物を見つければいいわけだ」
信子「なにそれ、信長は市況もない時代に付加価値という物を見据えていたの?」
益利「茶器に飽きて、もしも真珠の養殖でも成功したらそれを利用したかも知れないな。真珠に飽きたら、古い茶器に価値を見いだしたり」
信子「まるで現代の格付け会社や証券会社の推奨銘柄的な扇動までする気だったっていうの?」
益利「まあ俺の勝手な空想だけど、信長は戦上手なだけでなく、経済的なセンスはずば抜けていたと思う。逆に秀吉は戦上手ではあったけど、経済的な考えは出来なかった。ここが信長と秀吉の育ちの違いだったんじゃないかと。農民か出世して戦と政治の知識をあれだけ蓄えたのは天才だけど、さらに経済まで習得には至らなかった。というかそんな時間も無かったし、何より出発点が農民なわけだから、そこまで望むには無茶があるだろう。でも農民から戦と政治の知識をあれだけ身につけたのは相当なものだろうな」
信子「そういや、秀吉って部屋を黄金にしたり、自分が茶器を買い漁ってたりしたんだっけ…。それじゃ金がなくなるわなぁ」
益利「贅沢に取り憑かれてしまったんだろうな。しかも信長信望者だったから、信長が生み出した価値の茶器への執着もスゴかったんじゃないかと思う。本来なら、信長は為政者になったら、褒美として使っていただろう茶器の本当の使い方も良くわからなかったのかも。それでも褒美としては与えていたんだろうけど、自分もその価値の魔力にやられてしまったんだろうけど」
信子「日本統一までは確かに戦のセンスが必要だけど、その先って実は経済のセンスが必要だったのね。っていうか今も為政者には経済のセンスが一番必要だけど、日本の政治家には経済のセンスがまるでないわね」
益利「まるで統一後の秀吉を見るかのようだよな、日本の政治家は。まあ、全部俺の勝手な妄想だけどね」
信子「暇つぶしには丁度良かったわ」

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黒崎銀二

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