信子「
うたかた分室テロメアのサーカス物語とな!しかも桐生市の
有隣館とな!となとな!」
益利「なんかテンション高いな」
信子「気付いたらアマチュア演劇にハマり、ネットでも引っかかりづらかった今回のサーカス物語の公演があることを発見し、はるばるやって来たこの桐生。実は高校こっちだったから、懐かしいんだよね。桐生駅とか何度通ったことか。あの頃は駅員さんに定期を見せて通ったけど、今では自動改札なのかな。風情無いなぁ。桐生駅の立ち食いそばとか青春の味だわ」
益利「女子高生で立ち食いそばか!まあそこはいいけど、こんな大正ロマン的な建物で演劇とはな。まあ建物と言うよりも煉瓦造りの倉庫だけど」
信子「こんな建物あったのねぇ。というか桐生は古い建物多いから、改めて気付いたというか。しかもこんな古めかしい建物でイベントとかすごいね。歴史的贅沢というか」
信子「なんだろ、日本人の遺伝子のせいかこういう大正以前の建物に来ると心が奮い立つというか、悩みが小さくなるというか。気持ちが高揚するのはなんでだろ」
益利「文明開化時代の匂いのする建築物のデザインって確かに気持ちが上がるな。まあ、この建物は江戸時代とか結構古くからあったらしいぞ」
信子「へえ」
益利「しかもこの
煉瓦倉庫や他の倉庫もイベントで借りられるらしい。しかも一万円とか五千円とかで。安くないか?」
信子「へえ。というかなんでそんなこと知ってるわけ?あんたも初めて来たんでしょ?」
益利「さっき管理室行ったら、綺麗なお姉さんがいたのでちょっと色々聞いてた」
信子「へえ。ああ、知ってる知ってる。見てたし。鼻の下伸びてたし」
益利「あのなぁ。ちょっと話を聞こうとしてだなぁ」
信子「へえ」
益利「ほら、あそこに次に観に行く劇朔の招待券があったから貰ってきたのに」
信子「え!マジ?それは嬉しい!こんなところでそんなラッキーがあるとは」
益利「だろ?オレだってちゃんとそう言うところを見てるわけよ」
信子「今日はこのあと境文化センターで
県女の演劇観に行くから、大忙しねぇ」
益利「お前は凝り出すと徹底的だからな」
信子「嫌なら、あんたは管理室のお姉さんとお喋りでもしてればいいじゃない」
益利「あのなぁ」
信子「フン、なによ」