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アバウト・ア・ボーイの風景

朝刊
09 /19 2011
信子「これは、沁みるわぁ」
益利「今日はアバウト・ア・ボーイか」
信子「うん。しかし、ヒューグラントは本当に女にだらしないキャラやらせたら世界一ねぇ。ラブコメに引っ張りだこだけど、このハマり具合はいつも感心するわ」
益利「それでまたヒューグラントがクズ男でいく話か?」
信子「それがね。このヒューグラントは親がクリスマスソングを当てた一発屋でその印税で暮らして、女をナンパしては別れるクズ街道まっしぐらの男なんだけど、そんなナンパ生活の中で精神的にヤバくなってるシングルマザーの子供と知り合ってから、その少年に振り回されていつの間にか父性が目覚めて、今まで空っぽだった幸福感を感じるようになっていくって話。コメディ的な感じなんだけど、みんな何かしらの問題を抱えている為に物語が深くなってるのよね」
益利「へえ。でもそんななんの不自由もない生活ってヒューグラントらしいし、羨ましいな」
信子「そう思うでしょ?でもね。このヒューグラントは働かないものだから時間を持て余しているし、仕事に誇りを持ってる女性には愛想を尽かされることにも気付いてる。生活を30分を一コマとして毎日のすることをコマ数で数えるんだけど、本当に非生産的な怠惰な生活をコマで数えてる38歳のどこか寂しい中年男なのよね。だから、この生活に困らないという羨ましい環境にも関わらず、その憧れの無労働生活のわびしさを良く表現できてる。良くお金があったらこんな仕事辞めてやる-!っていう人がいるけど、そう言う人はこのヒューグラントを観た方がいいと思うな」
益利「…なんかそれってデイトレーダーとか専業トレーダーとも似てないか?その生活の寂しさみたいなの」
信子「まさにその通りよ!このヒューグラントは親の印税という形だけど、この満たされてるはずなのにやたら孤独感だけが蓄積されて、自分だけが世の中とは違う時間の流れ、人との交流になってしまったトレーダー達にも通じるのよ。トレーダーでイケメンだったら、このヒューグラントのようにナンパ生活できるだろうけど、じゃあそれが本当に幸せかというときっとどこか満たされない部分があると思う。誰かと取引をしなければならない仕事とは違ってトレーダーは人との接触は要らないし、接触はない。自然とこのヒューグラントのような生活になっちゃうわけよ。まだヒューグラントはナンパという他人との接触術があるからいいけど、引きこもってるトレーダーは一体誰と出会うのか。今までの友達とは世界が時間の使い方や感覚が変わってくるから、今まで通りとはいかないし、自然とこのヒューグラントのようにショッピングとビリヤードとテレビドラマで一日を潰す生活になるんじゃないかしら。そんな労働から離れた生活を送る人達の哀愁をうまく描いてるわ」
益利「うーん、耳に痛いな。タイムカードを押す生活の拘束感とか窮屈で嫌だ嫌だと思っていたけど、辞めてしまうと他人との交流が無くなって一気に孤独感が増すんだよな。あんなタイムカードを押してた時は時間が足りなかったのに、辞めた途端時間の多い事多い事。こんなに生活って違うのかと思ったね。人恋しくなるけど、どうしようもないんだよな」
信子「だから、お金がある人はその孤独感に耐えきれずに事業を始めちゃうのよ。事業を始めれば人との接点がものすごく増えるからね。まあそれはいいとして、そんなヒューグラントが少年に振り回されるんだけど、何日も何日もこの少年がやって来てはソファで一緒にテレビを無言で観てるシーンは面白いわね。なんか言葉を交わさないけど、友情みたいなのが積み上がっていく感じが伝わってくるし、この二人が父子みたいな関係になるかと思えば、少年同士の友達感みたいなのも出たりと微妙で絶妙に関係がウマい。しかもこの女ったらしのヒューグラントはこの少年の母親にはなんの興味も無く、むしろ嫌いなままのようだし。だから、この孤独な男にとってはいつの間にか少年が一番大切になってくるという複雑な関係。普通シングルマザーとの関係って母は好きだけど子供が厄介者だったりするじゃない?むしろ逆というのが本当にいい関係だと思う。しかも二人で相手の恋愛を応援したりとか。新しい形の義理の父子みたいな関係よね」
益利「でもそれってどこかであったなぁ。あ、ラブアクチュアリーのリーアムニーソンがそんな感じじゃなかったか?」
信子「そうなのよ。この作品の制作もなんとブリジットジョーンズの日記のスタッフらしいから、ラブアクチュアリーとはそんなに遠くない存在なの。作品の質感もラブアクチュアリーっぽいし。あたしこの雰囲気が好きだわ」
益利「イギリスのラブコメは質が良いという事か」
信子「ラブアクチュアリーもヒューグラント出てるしねぇ。まあとにかくヒューグラントの持ち味を120%出し切った素晴らしい作品だと思う。クズ男っぷりもコメディっぽさも人が変わっていく演技とか最後のあるシーンにはちょっと泣きそうになっちゃったし」
益利「へえ、結構感動するんだ」
信子「感情移入させ方がウマいのよね。まあこの作品から感じたことは結局孤独を埋められるのは人でしかないって事ね。最後のシーンで人に囲まれたヒューグラントと少年が並んでるのが見事に幸福感が出てて良かったなぁ」
益利「こういう生活だと友達って出来ないからなぁ」
信子「あーあたし、女の子ナンパしようかな。友達にならない?って」
益利「メチャクチャ怪しいだろ、それ」
信子「あー、まあねぇ…」

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
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2007年8月31日開設
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