2ntブログ

キル・ビルの風景

朝刊
07 /11 2011
信子「好きなものとか聞かれたら、なんて答えたらセンス良いと思われるかな」
益利「うーん…。さぁな。今色んな物が掘り起こされるから、みんな手垢が付いてるというか」
信子「シザーハンズ公開時にジョニーデップが好きって言えばそこそこセンス良さげだったけど、もう今ジョニーデップって言っても有名すぎるというか当たり前というかミーハーっぽいと言うか。あー、やっぱりヴィンセントギャロじゃないかな。というか最近の若い子ってヴィンセントギャロ知ってるのかな」
益利「ヴィンセントギャロか。懐かしいな。昔バッファロー66観たっけ。まだというかヴィンセントギャロは手垢付いてない感じするから、いいんじゃないか?」
信子「そうか。そうね。ユニクロのヴィンセントギャロUT着てヴィンセントギャロ好きって言うようにしようっと。そうそう映画と言えばキル・ビルよ、キル・ビル」
益利「キル・ビル面白かったな。あんな映画とは思わなかったよ」
信子「外人から観た勘違い日本映画かと思ったら、日本がわかってるのにも関わらずあえて勘違い日本にした映画よね。なによりパート1とパート2でやりたいことが変わるところが凄いわ。パート1はもう無茶苦茶刀アクションだったのにパート2になるとキャラの魅力やアクションもあるけど他の部分が深くなってる。特に殺害目標であるはずのビルが結構魅力的な人物でびっくりだしねぇ」
益利「パート1ではまるっきり出てこなかったけど、ビルがあんな人物だったとはな。個人的にはビルの弟が良かったな」
信子「いい感じの落ちぶれ方してたよね、ビルの弟。そうそう、パート1は結構日本人俳優が多く出てて流暢な日本語が出てくるけど、英語ばかりだったのに突然流暢な日本語が出てくると言ってることがわからなくなったりしたなぁ。でもパート1は脳内の日本語スイッチと英語スイッチを切り替える訓練が出来る珍しい映画だと思う。流暢な英語と流暢な日本語だけでなくて、片言の日本語や日本人の英語もあるし、それらがクロスして会話してたりとか結構英語と日本語の垣根って低いなと思えたわ。というかもしかすると言語的にはキル・ビル内の日本が理想なのかも知れないなと思った。英語にも対応出来る寿司屋にヤクザ。もしもあんな感じになれば日本は本当にグローバル化出来るわよ」
益利「でもあの寿司屋は客がいなかったけどな。それに日本刀を堂々と持ち歩いたりとかすごい日本だったし」
信子「うーん。でも実は日本の映画って法律の固定観念に縛られすぎてるのかもって日本刀持ち歩いてる姿観て思ったな。香港映画では老人も女性もカンフーの達人でみんな強かったりするじゃない?香港は世界がどう自分達を勘違いしてるかわかってて、そこをうまく映画にしてるのに日本はそれを出来てないのよ。銃刀法があるから日本刀を持ち歩くなんて非常識だし、だから映画でもやらないけど、むしろ世界は日本刀を日本人が持ち歩いていてニンジャが暗躍してる日本を観たいのよ。それをあえて本当の日本とは違うとわかってるタランティーノがキル・ビルで表現したのよ。日本人よ、時代劇だけでなく現代劇でも刀を振れと」
益利「確かに時代劇では刀を振るけど現代劇では日本映画は刀を振らないよな。ヤクザ物でも拳銃やガンがメインだし」
信子「あたしはこのキル・ビルを観て目が覚めたわ。世界が観たかった日本映画ってこう言うものだったと言う事が。それにこんな映画が無かった日本映画にも気付いて驚いた。日本人はやっぱりくそまじめ過ぎたのよ。あたしも含めてね」
益利「真面目な時代劇を設定と展開をそのまま現代劇にしただけできっと斬新な映画になるだろうな。高校生が刀を携えて通学したり、サラリーマンも鞄片手に新聞読みながらも刀を持ってたり。もうそれだけで新しい映像だな」
信子「女子高生が世界が望むニンジャやったりね。自動車メーカー同士の対立が戦になって日本刀で戦ったり。当然銃は無しで。そもそも日本の映画には銃の方が非現実的よね。銃なんて作ってないし、禁止もされてるわけだし。それよりも日本刀を振り回す日本人を世界が観たいんだからそれを作らないと」
益利「でも日本映画は日本刀を撮りたかったら固定観念で時代劇になってしまう」
信子「時代劇ではもう色んな物を撮り尽くしてるしね。日本人が撮った世界が望む勘違い現代日本映画を観たいわ」
益利「固定観念ってなかなか壊せないからな。それにそんなのが受けるかどうかわからなくて怖いだろうし」
信子「だからダメなのよ。キル・ビルパート1は日本映画に対するメッセージだと受け取ったわ。それと、エンディングの曲のグッナイムーンって歌詞はちょっと良かったわ」
益利「あー、あの演歌っぽい曲の前に流れてた奴か」
信子「そうよ。それそれ。ふぁあ、眠い。そろそろ寝るわ」
益利「そうだな」
信子:good night moon.
益利:good night sun.

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
ええ、フィクションです。
投資法は現物買い推奨
投資による損失は自己責任でお願いします。
福澤桃介と金子直吉の評価の低さを憂う。
2007年8月31日開設
紹介・リンクフリー
kurokei-bana-