リュック・ベッソン版ジャンヌ・ダルクを久々に観直した。昔見た時は悲劇の英雄として言われるジャンヌ・ダルクが扱いが微妙だったためにはまらなかったけど、今見直すと色々見えてきてこれはいい映画だと感じた。そもそもジャンヌ・ダルクが創作上の人物であるなら問題ないけど、実在したとすれば確かに周りは扱いに困る存在だ。神のメッセンジャーとして王に近づける度胸。ドラマなら問題ないが現実問題こんなのが出てきたら大騒ぎだろう。しかもこの映画はこの猪突猛進な狂信者な勢いが幸いして、本当に奇跡的な勝利をしてしまう。その為に現場の兵士達はカリスマ扱いをして士気も高まる。王としてもフランスの重要な拠点を落とすまでは良かったが、主要な都市を取り戻してたところで外交が重要になり戦争では無くなったのに、ジャンヌ・ダルクは戦いに行こうとする。一応王達も地元に帰れというが帰らない。ジャンヌ・ダルク自身も拠点を落としてから神の声が聞こえなくなってると言ってる。ここまで聞こえていた声はもしかしたら本当に神の声かもしれないと観客に思わせると共にその後のジャンヌ・ダルクの行動には神の声は無いのでジャンヌ自身の意思での戦いとなるように見える。
その後に負け戦で捕虜になり、宗教裁判をするが神の使いかもしれないジャンヌに神官も困惑して、サインをすれば魔女にならないと歩み寄るも断れるという、ジャンヌ・ダルクを救う選択は幾重にもあるように出来てるのは面白い。ジャンヌの火刑とジャンヌという人物についてどちらが悪いとも言えないようにとれるように上手いバランスで出来てる。大人になってみるとジャンヌ・ダルクという人物の評価は変わるな。悪くなるというわけではなくて、子供の頃では単純にヒーローにしか見えなかった人物だけど、大人になってそんな人物が実際にいたらどう思うかと考えると怖いよなぁと思う。ましてや本当に奇跡的な勝利までしてしまえばなおのこと神々しくも怖いと感じる。この映画のような狂信的に猪突猛進であれば火刑になってしまったのもリアルに頷ける。さすがに腐った教会幹部だったとしても神の声を聞いて奇跡を起こしてきた処女をなんの悩みもなく魔女扱いはできないし。
ジャンヌ・ダルクという存在そのものがミステリーだよなぁ。本当にいた人物としてはドラマチックに出来過ぎてるし。