はるか昔に版権切れか何かのタイミングで安く売ってたチャップリンDVDを大量にあったわけだけど、ずっと寝かせてあったのをとうとう重い腰を上げて見続けてやっと観終わった。それでもKIDやCIRCUSは無いし、多分初期短編もいくつか抜けてるんだろう。それで最後にロバート・ダウニー・ジュニアが演じたチャーリーを観たけど、このチャーリーはチャップリンの自伝的な映画になってるので生涯がよくわかる。改めて観るとあの時代の微妙さがにじみ出てる。昔チャーリー見た時は知識が無くてわからなかったことが今では深くわかりより面白い。特にチャップリンを赤と決めつけていたFBI長官フーバーとの出会いとかねぇ。フーバーといえば俺達のデカプリオを演じたあのおっさんだった。なぜかずっと長官やって内容は映画見ればいいけど、昔見た時はフーバー言われてもなんとも思わなかったけど、若いチャップリンから年取ったチャップリンまでしつこくレポート作ってた事が人事に厳しいアメリカにしてはおかしいことに気づかなかったし。
それに独裁者の撮影だよなぁ。あんなに共産主義嫌いなアメリカは参戦前まで微妙な立場で、赤狩りまでやっていたアメリカにしてみればソ連は敵なわけで、そうすると敵の敵は見方となる法則でドイツのファシストを支持する人もいたわけで、この間に挟まれて主張したのがチャップリン。ユダヤでも無いのに映画独裁者でファシストを否定したら、ドイツを否定する人はソ連側、ということは共産主義者で赤という理屈で疑われるとか面倒くさい時代だな。でも結局アメリカは死ぬほど嫌いな共産主義国と組んだわけで、案外第二次世界大戦もアメリカの世論によっては流れが違ったのかと思うと恐ろしい。そんな時代に同い年で同じちょび髭をしたヒトラーを小馬鹿にしたコメディ独裁者を作っちゃうんだから、チャップリンは凄いなぁ。まあ、凄いだけですむわけもなくアメリカを追放されてしまうわけだ。しかもあのフーバーから。なんだかアメリカもアメリカで闇が深いことが登場人物とその映画から垣間見れる。チャップリンでさえ何十年も追い出したままで一応生きてる間にハリウッドはなんとか迎えることが出来たのはせめともの救い。日本だと死ぬまで放っておいて死んでから評価するからねぇ。