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ハンガーゲーム(米)対バトルロワイヤル(日)

朝刊
10 /10 2012
 ハンガーゲーム観てきたんだけど-、なにあれ。もうね、酷すぎる。まあ、あれはバトルロワイヤルの影響受けてないや。あらすじくらい聞いて作った感じ?バトルロワイヤル観ててあの映画作ったら、恥ずかしくて人前に出られないレベル。
 バトルロワイヤルは普通の中学生がクラスメイトと殺し合って一人になるまで終わらないというゲームだった。その狂気や生徒達の不安感や、ましてや今まで顔見知りだったクラスメイトを殺さなければ殺される環境、さらに舞台には生徒が逃げ出せないように遠くに行くと爆発する爆弾と増えていく立ち入り禁止区域。本当に良く出来た設定と展開だった。ゲーム設計から物語から終わりまで完璧な作品だっただろう。さらに映画バトルロワイヤルは見事にそれを実写化したし、あの時に出演した生徒役の役者は今では第一線を活躍する役者が多くいたりと、日本の文化において重要な一作だと僕は思っている。
 そんな日本が作り出した問題作と設定が似ているハンガーゲーム。アメリカでは大ヒットらしいので楽しみに観てきたわけだけど、これが酷い。まあ、この酷さはバトルロワイヤルを知ってるからというわけでもないだろう。バトルロワイヤルは普通の中学生の修学旅行から一変バトルロワイヤルというゲームに放り込まれるのだが、ハンガーゲームは現代ではなく妙なSF未来チックな世界での出来事になってるために、いまいち入り込めず、しかもSF未来の現状や主役達の境遇に対する説明の時間がやたら長くなってしまう。政府にたてついた12ブロックからそれぞれ男女二人を選出して、その24人が一人になるまで殺し合うというゲームらしいが、同じブロックから出る人以外は知り合いではないのでバトロワほどの緊張感はないし、ハンガーゲームの開催地に着いてもそこから訓練に時間を使う。バトロワと変化を付ける為にか、このハンガーゲームにはスポンサー制度があり、観客がファンになれば観客から支援物資が届くというオリジナルのルールがあるのだが、このルール要らなかったんじゃないかってくらいに役に立ってない。なんか蛇足感があるシーンばかりで本題のハンガーゲームが始まるまでの時間がやたらクソ長い上に意味がない。緊張感が高まるどころかなあなあ感ばかりだ。あと主役は弓矢が得意というの初めから描かれていたが、主役の女の子と同じブロックの男の子が腕力があると言う設定は突然というか結局なんの意味があったのかわからない設定だった。
 クソ長い設定説明的なシーンが終わってやっとゲームが始まるのだが、スタート地点は全員同じ場所から靴が磁石か何かで止められてる状態からスタートする。嫌な予感するなぁと思ったら、そこには武器や物資が置いてあるベースがあり、ここで何か取っていくと有利になる。バトロワはサバイバル道具一式入ったバックを一人一つずつ渡していったのだが、ハンガーゲームのスタートでは物資を取りに行った者同士での殺し合いが始まり、一気に8人くらい死んでしまう。24人しかいないのにいきなり8人消してしまう。さすが侘び寂びのわからないアメリカ製だけはある。無駄にゲーム前のシーンに時間を使っただけはある。
 ああ、あと酷いのは主役の子が初めてゲーム内でケガをするシーンというのは重要だけど、このハンガーゲームはひと味違った。主役の子があまりにも離れすぎたために、戻すために森を焼いて山火事にして追い返す。つーかあれだけのハイテク世界なら、そもそも断崖絶壁か何かで囲っておけよと。まさか森を焼いて戻すとかないし、しかもゲームマスターが山火事で追い返すだけでなく、殺すつもりで火の玉を発射する。ゲームマスターがこのゲームにそういった手の入れ方はタブーだろ。さらに主役の子は殺す気で発射された火の玉を間一髪かわすのだが、そこで初めてケガをしてしまう。まさかゲーム参加者じゃないところから、初めてケガをもらい、そのケガがずっとつきまとう。
 さらに主役以外はこの一人しか生き残れないゲームにおいて普通にチームを組んでる。なんかそれもおかしくないかと。このゲームの環境化においてチームを組むというのはまず有り得ない。バトロワのようにクラスメイトという特殊な繋がりでもあるならわかるが、このゲームは同じブロックの人以外はまず顔見知りはいない。それがなぜか仲良くチームを組んでるし、主役の子を木の上に追い詰めてから木の下でその連中が待つのだが、なんと見張り無しで全員地べたに仲良くごろ寝。敵が他にもいるし、ましてやこの仲間の誰かが寝てる間に全員殺す事だってある状況でこれはない。
 もしもチームを組むという状況にしたいのなら、生き残れるのは一人にせず二人にすれば良かった。バトロワから面白い設定だからパクッたんだろうけど、クラスメートの中の一人だから活きる設定であって、知らない者同士では戦略の無くなる設定だ。だから、二人にすればプレイヤーは同じブロックの人と組んで優勝するか、チームを組んでもこの中の二人は生き残るという希望がチームを作るようにする。二人生き残りなら、二人で行動するし、二人以上でも最後は自分が二人目になるという欲がチームの結束力を強くする。だから、ゲームを面白くするなら、そもそもブロック関係なしに二人を生き残りにすれば良かったわけだ。
 このゲームが酷いのはさらに色々あった上で、突然生き残ったブロックの二人を優勝させるとルールが変更された。このゲームにおいて始まってからのルール変更はゲームそのものの否定になる。さらに酷いのはこの二人生き残りのルールをまた一人に戻したりとゲームマスターがぶれぶれ。本当に酷い。しかも主役のいないところでの殺し合いはあまり無いし、なんか意味もわからず他のプレイヤーに助けられてそのプレイヤーは主役の子を殺さなかったりと、意味不明な行動をする。それに最後の最後がゲームマスターが放った好戦的な犬によって終わるとか。戦略のへったくれも無かったりする。
 心理描写的なものはないくせに、なぜかチームをみんな組むし、感情移入出来ないまま酷い結果まで見せられる。これ観るくらいなら、バトルロワイヤルをもう一度見直した方がよっぽど面白い。これがアメリカで大ヒットしてるんなら、バトルロワイヤルはその10倍は儲かっても良いはずだ。とにかく酷いままハンガーゲーム2も日本公開のテロップ観て、もう二度とこの映画は観ないと決めた。

黒崎銀二

Twitter:Ginji_k
この作品はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。
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2007年8月31日開設
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