「そっか、今日はクリスマスイブか」
街並みは11月からとっくにクリスマス色に染まっていたので、大分先かと思っていたけど気が付いたら今日だったという感じだ。彼氏もいない時期が続いてるし、傷をなめ合う友達もいなくなってから季節的なものに疎くなっていた。昔は寂しい寂しいと言う相手もいたが、言う相手がいなくなるとどう寂しいのか全くわからなくなる。
そっか、クリスマスか、もう一度私はつぶやき冷蔵庫から缶ビールを取りに行き、プシュと開ける。
「メリークリスマース」
抑揚を付けるわけでもなく、軽く缶を上げてそう言うとビールを流し込んだ。ビールが体に染み渡っていく。でも、何か空虚感が私の中で大きくなっていくのを感じるばかりだった。その空虚感を埋めるために何か音楽を聴こうとCDをラックから探し始めた。普段は音楽はiPodからだったが、今日はCDを聞きたい気分だった。若い頃に良く聴いていたロックバンドのCDを見つけそれをコンポに挿入して適当に流した。
「良く聴いてたなぁ…。これ」
音楽を聴いてると自然と昔の事が思い出され、胸から何かが込み上げてくる。懐かしさと切なさと涙が一緒に込み上げてきて、喉の奥で留まっているような感覚だった。
寂しいと言う相手がいないことが一番寂しいのかな、とふと思いながらビールを一口二口と流し込んでいく。音楽は昔の軽快なリズムで懐かしい曲に今では恥ずかしい言葉が流れてくる。色々な感情が心の中でぐるぐる回っているのがわかる。愚痴でも何でも誰かに言いたい気持ちが高まってくる。
「誰かヒマなのいないかな」
ケータイを手に取ると適当に電話帳を見ていく。恋人がいたり結婚してたりとどうにもかけづらい名前がつらつらと表示されていく。
「どれもダメだなぁ」
そんな中に昔の同級生の男の名前が出てきた。大分昔に再会した時に交換した番号だった。そこそこ酔ってることもあって、いっそこの番号にかけてみようと思った。かけて繋がったら間違い電話で誤魔化せばいいやと思い、いたずら電話感覚で発信ボタンを押してみた。
「あ、もしもし」
発信音がしてすぐに相手が出た。
「…あ、もしもし?あ、あの…」
酔った勢いでかけたものの相手が出た途端、一気に酔いが醒めてどぎまぎした。
「久しぶりだね。どうしたんだ?」
相手の声は学生の頃と変わらない感じで話しかけてくる。懐かしさと同時に一気にあの頃に戻れるような気が一瞬した。
「久しぶり。せっかくのクリスマスなのに一人でヒマだったからかけたの」
精一杯元気な声で話した。心はドキドキしている。
「はは。それは突然だな。まあ俺も一人でヒマしてたから嬉しいよ」
「ホント?それなら良かった。最近じゃ愚痴る友達もいなくなってね。何がクリスマスよ!って」
「全くだな。俺なんかずっとクリスマスなんて平日と変わんねえよ。仕事して帰ってきて寝るみたいな」
「結構そんな感じよね。クリスマスなんて平日よ」
「なあ、今ヒマなら一緒にメシでも食わないか?これから…」
「これから?」
「あ、嫌ならいいんだけど。一人ずつ過ごすよりいいんじゃないかと思ってさ」
「うん。いいよ。あ、でもビール飲んじゃったから車で行けないや。迎えに来てくれる?」
「ああ、いいよ。学生の頃に住んでたところか?」
「そこそこ」
「はは、まだあそこにいるのか」
「動くの面倒だしね」
「お前らしいな」
「悪かったですね!」
「じゃあ、今から行くわ。近くに着いたらケータイかけるな」
「うん。待ってる」
通話を切ると、今までの鬱屈した気持ちが晴れている自分がいるのに驚きつつも、最近サボり気味だった女らしさを取り戻すために準備に取りかかった。
「あ、下着の上下の色が違ったんだっけ…。どうしようか」
見られるような事にならないだろうと思いつつも、下着から着替え始めた。
気になる株価材料
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